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※過去の記事を加筆修正して再アップしています。
二対対策用のその他のお酒の小瓶セットについて、毎年表題のご質問をいただきますので、書きます。
結論、一部の繊細なワイン系のもの以外、すなわちアルコール度数の高い蒸留酒等は、一応「はい」です。
ただし直射日光や紫外線の当たらない、なるべく冷暗所が望ましいです。一度開けた場合は、しっかりキャップを閉めて。小瓶は、横よりは立てて。
保管に関しての基本(通常のワインの場合)
まず、小瓶に限らず一般的なワインの保管について。
ソムリエ教本の「ワインの購入・保管・熟成・販売」の章では、ワインは熟成させる保管であれば12〜15度、品質を保つ保管であれば白は10度前後、赤は15度前後、とあります。
そんな細かい設定をしていられないよという場合でも、一般に長期の保管であればワインセラーの温度はおおよそ13〜14度前後、すぐ出し入れする場合はもっと飲用適温に近い温度で、という考え方が主流ではないでしょうか。
ワインのタイプにもよりますし、季節や環境にもよりますし、ケースバイケースで、様々な考え方があると思います。
例えば、全ての飲料はなるべく低温管理のほうが香りが飛びにくく、酸化しにくいはずですので、「温度は凍らない程度に低ければ低い方が良い」派の、お詳しい方も実際にいらっしゃますし、
日本酒なら、マイナス5度やマイナス4度で保管をするという方法も、わりとメジャーかもしれませんし、
うーん、最適は何でしょう。
いずれにしても、大前提として以下は、劣化しやすいので避けた方が良いですよね。
- 紫外線
- 温度変化
- 振動
- (コルク栓の場合)乾燥、強いニオイのもの
上記の避けた方が良いものを踏まえると、実は冷蔵庫保管って、微妙なのですよね。
ドアの開閉で温度変化があり、モーターの振動があり、乾燥し、専用冷蔵庫でなければ他の食べ物のニオイもある。
ただ、特にワインの場合は涼しさも大事ですので、もしワインセラーや涼しいお部屋がない場合には、日本の真夏に常温で置いておくことを考えたら、冷蔵庫のほうが良いと思います。
そういえば、保管時にワインを立てるか横に寝かせるかも、諸説ありますよね。
昔は「コルクの乾燥を防ぐために寝かせる」が主流だったと思いますが、最近はコルク栓のワインでも「立てる」が主流になってきているような気がします。寝かせると液体に浸っているコルクが劣化して逆に良くない、コルクの乾燥は中の液体ではなく保管環境の湿度で防ぐもの、という話ですね(以前、田崎真也さんのセミナーでも強くおっしゃっていまして大変勉強になりました)。
※2024年4月現在、ソムリエ教本の「ワインの購入・保管・熟成・販売」では、「横に寝かせる」が推奨されていますので、一次試験をこれから受験される受験生の方はそちらで覚えてください。あと「白熱電灯がベスト」も、昔は白熱電灯が蛍光灯よりも紫外線が少なかったそうなので、きっとそのように書かれているのだと思います。企業努力でしょうか、現在は白熱電灯より蛍光灯のほうが紫外線が少ないことも多いようですので、この限りでは無いと個人的に思います。
しかし、立てて保管といっても、フルボトルだとスペースを取るのでなかなか大変ですよね。。。一般にワインセラーは寝かせて収納しやすい設計になっているものが多いと思います。生産者から木箱でワインが届く場合も、寝かせてあることが多いのではないでしょうか。現実問題、考えちゃいますね。
いずれにしても小瓶に関しては、コルクも関係ないですし、迷わず立てて保管した方がいいでしょう。立てた方が、容器の中で液体が酸素に触れる面積が少なくなるためです。小瓶ならばワインも、蒸留酒やリキュールも同じです。
気休めかもしれませんが、小瓶の蓋をきっちり閉めて、閉める時に窒素やアルゴンなどの不活性ガスを入れたり、閉めた後はラップで巻いたりジップロックしたりも多少は効果があるかもしれません(くどいけど、気休めかもです)。
蒸留酒・リキュールの場合
ワインセラーをお持ちの方は、セラー保管が良いと思います。なければ、なるべく涼しい冷暗所が良いでしょう。
冷蔵庫は、どうでしょう・・・?
パッと調べると「ウイスキーは冷蔵庫で保管しちゃダメ」等、よく出てきますね。私は蒸留酒の専門家ではないので勉強不足ですが、こちらもケース・バイ・ケースではないかと、個人的には思います。
私がご質問いただく小瓶のセットは、何年も置いておく高級なボトルではなく、ほんの数ヶ月でお役目が終わる比較的消費の早いものですし、この試験の二次対策は真夏〜残暑の時期を含みますので、真夏に常温で置いておくよりはと考えると、冷蔵庫もアリな気がします。
ただ、冷蔵庫から出したての低い温度では香りや味わいが感じ難いですし、おそらく試験では常温に近い温度で出てくると思いますので、もし冷蔵庫保管の場合は、香りを嗅いだり味わったりする際には常温へ戻すことをお勧めします。しかしそうすると、何度か行う場合、劣化の原因の一つの「温度変化」を頻繁に行なうことにもなりかねないので、一長一短かもですね。。。
できれば隙間時間に小瓶をサッとすぐに取り出し、香りをスンスン嗅いだりしてトレーニングをしてほしいので、それを考えると、すぐ嗅げる温度で、すなわち室温、常温の涼しい場所、が最も好ましいかもしれません。
フレーヴァード・ワイン、フォーティファイド・ワインの場合
しばしばフレーヴァードやフォーティファイドも「ワイン以外のお酒」と一括りにしてしまう方がいらっしゃるのですが、かわいそうに、笑
名前通り一応ワインですので、せっかくですからワインの仲間に入れてあげてください。
たとえばマデイラのように、「アルコール度数の高いもの」「甘ーいもの」「酸化熟成のもの」は比較的長持ちなので、蒸留酒・リキュールとほぼ同じように、ワインセラーか冷暗所が良さそうです。
しかし、シェリーのフィノやマンサニージャのように白ワインに近いタイプ、すなわちアルコール度数がフォーティファイド・ワインの中ではそこまで高くなく(大半が15度)、甘味も無いまたは少ないものは別で、足がはやいです。香りや味わいは個性的かもしれませんが、保管に関しては普通の白ワインとほぼ変わらないか、少しだけ息が長いくらいで、シェリー教本によると、抜栓後は冷蔵庫で保管しても最大で約一週間程度だそうです。もし、その他のお酒だということでまとめて常温で放置してしまいますと、香りや味わいの状態が大きく異なる可能性がありますので、ご注意くださいね。試験当日は抜栓したてが出るはずですので、抜栓後の時間が経ったものや温度管理がなされていないものは、練習に不向きでしょう。
ちなみに昔、某所の二次試験対策で、酸化して茶色くなったフィノが出てきたことがありました。ちょっと、お酒と受験生がかわいそうだと思いました。。。
これはお店で飲まれる時にも、言える話です。レストランさん等に置いてあっても、特にシェリーなどは抜栓してからすごく長い時間が経過して劣化しているものが当たり前のように出されたり、品質保持や提供の仕方に関して詳しい方がいらっしゃらず適当に放置されていたりすることも、残念ながらしばしばあるようです。正直あまり回転率の良いものでもないでしょうから、わかっていても、なかなか難しいのかもしれませんけれども。。。
例えばシェリーなら老舗専門店のしぇりークラブさんとか、マデイラならマデイラエントラーダさんとか、お詳しい方がしっかり情熱を持って管理されているお店で、楽しんでいただくことを心からお勧めします。
まとめ
その他のお酒、直前でも点数が取りやすいところですので、決して捨てないで頑張ってくださいね!
もったいない、なるべく長持ちさせよう、と思われるのも悪く無いですけど、ひと夏くらいでしたらよほど酷い管理でなければ大丈夫と思いますので、じゃんじゃん出して使い倒して得意にしてください(^^)
追伸のお願い:昨年の残りものは貰わないで買わないで
しばしば、前年度に販売・購入されていた、中古の「その他のお酒小瓶セット」を、知人から譲り受ける、メルカリで買う、等を耳にしますがおすすめしません。
実際に私も毎年のように小瓶セットを担当させていただいているので、ためしに翌年になってから、前年度の残りの小瓶を味見したことがありますが、大半が香りが飛んでしまっていてダメでした。
小瓶は相対的に空気に触れる面積が大きいので、劣化も早いですからね。
蒸留酒もコンディション大事ですし、香りや味わいは変わります。
試験本番は今開けたての新しいものが出るはずですので、昨年小瓶に詰められて常温で放置されているもので覚えると、香りや味わいが異なることもあるでしょう。
(特にフレーバードワインやフォーティワイドワインなどのワイン系は、抜栓して時間経っていると本当によろしくないです。前述の、茶色いFinoのように。)
今年、ご購入くださった方も、来年以降の方へあげたり売ったりはやめてくださいね。ご本人のために、新しいものを勧めてください。
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お読みくださって、どうもありがとうございました。
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