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※過去の記事を加筆修正して再アップしています。
特にソムリエ・ワインエキスパート試験でしばしば、タイトルのようなご質問をいただきます。
複数のワインのコメントを作成する場合に、比べないとわかりにくいので、
外観・香り・味わい、と順番に取っていくのでなく、外観・外観・外観、香り・香り・香り、というふうに横並びでやっていってはダメですか?と。
結論
慣れないうちは横並びでも問題ありません。一方で可能なら試験日までには、各ワインのコメントを1つずつ最初から最後まで完成させてから、次のワインへ行ける力を身に付けることをおすすめします。
慣れないうちは、他のワインと比較しないと答えが選びにくいと思いますので、それでも良い、むしろそのほうが良いかもしれません。私もごく入り口の基礎的な講座では、そのようにしていただくことがあります。
試験はマークシートなので、本番も横並びにコメントすることはできますし、これは賛否あるかもしれませんが、お決まりの「澄んだ」「輝きのある」などは全部最初にマークしてしまうとかも、アリな気もします。
ただ、「横並びでなければコメントが選べない」という状態で受験されると、ちょっと心配だなぁと思う理由が、主に2つあります。以下です。
心配①推理の集中力が分散しやすいのでは
ブラインドテイスティングはよく、探偵の推理に例えられますよね。
外観、香り、味わいから多くの手がかりを見つけて、ご自身の頭の中にある知識や経験と照らし合わせて、犯人を推理してピタリと当てる、名探偵に皆様がなるわけです。
それぞれの事件(ワイン)の、犯人(品種や産地)を追い詰めに行く。
横並びに並行して複数の異なる事件を行ったり来たりしていると、大変ではないですか?
ひとつのワインと真剣に向き合って、集中して、まずそのワインの外観から考えられる可能性や仮説を考え、つぎに香りをとって外観から推理した情報を検証しつつ新たな手がかりを探し、さらに味わいでこれまで推理した情報を検証しつつ新たな手がかりを探し、総合して結論を導き出すほうが、一つひとつの推論の精度が高いのではないでしょうか。
心配②比較対象次第でコメントがブレる可能性
例年、エキスパートは白2赤2なので白同士や赤同士で多少の比較ができますが、ソムリエは白1赤2 or 白2赤1なので、白か赤どちらかは1つしかなく、白同士や赤同士で比較ができないのですよね。並べて比較しないとわからない状態だと、ちょっと心配です。
白同士や赤同士で比較のできるエキスパートも、たとえば白2つとも軽い場合や、赤2つとも重い場合に、よくわからなくなってしまったり、本来は両方とも軽いのに勘繰って片方を重いコメントにしてしまったりする可能性もあるかもしれません。
目の前のアイテムを比べないと評価ができない状態ではなく、比べなくても絶対評価ができる状態を目指していただけると理想的と思います。
最初はできなくて当たり前
とはいえ、比較しなくても判断できるようにするというのは、慣れないと難しいと言うのもよくわかります。
ぱっと1つ白ワインが出てきて、濃淡が淡いのか濃いのか、酸味が豊かなのか控えめなのか、アルコールが高いのか低いのか、瞬時に判断ができない・・・というのは、最初は仕方のないことです。
まだご自身の中に、ブラインドテイスティングに必要な「ものさし」ができていないからでしょう。
たとえば、私たちは、道ゆく人のおおよその身長の高い低いを、実際の数字はわからなくてもメジャー等で測らなくても、なんとなく判断できますよね。日本人で180cm以上ある方を見たら、「背が高い人だな」って思う方が多いと思います。これは、私たちが今までの人生の中で無数の人と出会って別れて袖擦り合ってすれ違っている中で、無意識に「このくらいだと身長が高いな、低いな、普通だな」と思えるものさしが頭の中に形成されているからですよね。生まれたての赤ちゃんには、まだものさしができていないのでわからないでしょう。両親ともに身長が2m以上あるご家庭の赤ちゃんは、180cmの人を見て、どう思うでしょうか。身近な人が2mの場合、180cmを小さいと思うかもしれません。
テイスティングを始めたての頃は、ものさしのない生まれたての赤ちゃんと同じですので、わからなくて当たり前です。それぞれの好みや経験による偏りもあるので、人様との感覚のずれを感じることもあるでしょう。これも当たり前のことですので、安心してください。
テイスティングに必要なものさしをどのように形成していくか
ものさしは、小手先の試験テクニックではなくて、筋トレのように日々の努力で少しずつ身についていく、テイスティングの基礎力の部分が大きいのですよね。
これこそ、ワインスクールの大きなメリットです(ちゃっかり宣伝ですみません。笑)。
真面目な話、きちんとわかる人(近年のこの試験のテイスティングに特化している講師)のもとで、同じ志の様々なレベルの他の方々(クラスメート)がどう感じているのかも比較しながら、たとえば「このワインは自分にとっては余韻が短いけど、この試験で必要なものさしでいうと、余韻が長いんだ」などと、ご自身の感覚とのすり合わせを行なっていくことで、早く正確なものさしができていきます。これとてもだいじです。
そうしてご自身の中にテイスティング用の正しいものさしを形成していくことで、たとえば濃淡なら「全ての白ワインの中で、このくらいだと淡いほう、このくらいだと濃いほう、このくらいだと中程度だ」などとわかるようになり、ぱっと1つ白ワインが出てきても「やや濃い」などと判断できるようになります。そうなれば、もう比較対象は頭の中にあるので、目の前で横並びに比べなくてもよくなります。
大丈夫です
品種や産地を全部外したけど合格したと言う方も毎年いらっしゃいますし、独自に受講生の自己採点結果を伺って最低ラインを算出した結果、、、年によると思いますが、多分そんなには高くない年も結構あるのではと思います。どなたでも、きちんと頑張ればゼロスタートでも合格ができます。
全くのゼロスタートから品種や産地を全部当てたと言う方もいらっしゃいます。コメント重視とはいえ、できればそこを目指したいですよね。地道な努力は実りますよ。
テイスティングも、一緒に頑張っていきましょう。
また、テイスティング関連の講座やWebinerなども立ち上がると思いますのでご案内させてください(^^)
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<ソムリエ・ワインエキスパート関係のおすすめ>
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