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※過去の記事を加筆修正して再UPしています。
ソムリエ三次試験のサービス実技審査、ベネンシアドールの実技試験、実技ではなくても筆記やテイスティング試験の時などにおいても、受講生の皆様がよく「緊張する!」とおっしゃるので、緊張について思うことを書いてみます。
私は元々、引っ込み思案で人見知りで、子供の頃は肥満児でいじめられっ子でしたので、人前で堂々と話すなんてできるわけもなく、ものすごく緊張しやすかったです。
ワインの講師になってから最初の2年くらいは、本当に毎回、極度に緊張していました。
そういえば先日、ちょうど講師になりたての頃に体験セミナーを受けてくださった方とたまたまお会いして、その方がこう仰っていました。
「最初、うわぁ随分緊張している人がきたな、と思ったよ。笑」
お恥ずかしいかぎりです。
初対面の受講生に「うわぁ、この人緊張しているな」とバレバレで心配されてしまうくらい、声や手は震えるし、頭が真っ白になって何を言っているのか自分でも分からなくなるし、緊張していると自覚すると余計に緊張してダメになってしまい、いつも散々でした。
しかし近年は、おかげさまで、あまり緊張しなくなってきました。もし緊張していても、周りからは特に緊張しているように思われなくなってきたようです。
どうしたら緊張しなくなるのでしょうか?
または、どうしたら緊張していても緊張しているように見られず、普段通りに近いパフォーマンスが発揮できるのでしょうか?
あくまで勝手に自分が思うことですので皆様に当てはまるかはわかりませんが、もしお役に立つ方がいらっしゃればと思いまして、3点書きますね。
1、緊張は敵じゃない
申し訳ないことに直接のソースを失念してしまいまして、たしか私が初めて目にしたのは中谷彰宏先生の本だったような気がするのですが・・・(ごめんなさい自信ないのでもしわかる方いらっしゃいましたら教えてください)
医学的に、科学的に、生物学的に、正しいのかどうか私は分からないのですけれども、以下の「そもそもなぜ緊張するか」というお話は、自分はなるほどと腑に落ちました。
一説によると、緊張するのは「命の危機でも生き延びるため、体を守るため」なのだということでした。
例えばライオンや熊に襲われた時、どうしましょうか。
どっちに逃げよう・・・右?いや、左??それとも死んだふり??なんて迷っているうちにやられてしまうかもしれません。ですから、頭で考えるより先に反射的に体が動くよう、頭が真っ白になるのだそうです。
そして、もし飛びかかられて手や足の一部がもげてしまった時は、興奮して血流の多い状態では、出血が多くなりすぎて逃げられないかもしれませんよね。だから、末端の血管を収縮させて出血が最小限になるようにするので、それによって手足が震えるのだそうです。
緊張して頭が真っ白になったり手足が震えたりすることは、体が私たちの邪魔をしたいのではなくて、ライオンや熊に襲われても大丈夫なくらいスーパーサイヤ人な状態になってくれているのだと思えば、ちょっとその状態すごくないですか?笑
緊張している自分の体は、敵じゃない。
もちろん、試験官や審査員も、敵じゃない。
私も、一応歴代優勝者として過去にベネンシアドールの最終実技審査の審査員をさせていただいて思ったのですけど、まーーーーー皆さま緊張していらっしゃるのがひしひしと伝わってきました。存じ上げない方でも、我が子の発表会を見守るお母さんのような気持ちになってしまいそうです。
きっと、世の審査員・試験官の方々も、大なり小なりそうなのではないでしょうか。どれだけ努力が必要か、どれだけ緊張するか、ご自身も経験者でよくわかっていらっしゃることが多いと思います。
大丈夫だから、リラックスしてやってね、って思いながら、きっと見ていらっしゃいますよ。決して、粗探しをしてどうにか減点してやろうなどと、いじわるなことは思われていないはずで、温かい目で見てくださっていると思います。
あと、緊張しちゃいけない!!とあまり思いすぎるのも、逆にプレッシャーになっちゃうのでは?とも思います。
「最もよいパフォーマンスを発揮できるのは適度な緊張をしているときだ」
といいますよね。実際にそうだと思います。
緊張でガッチガチでもいいパフォーマンスができないかもしれませんが、逆に気が抜けてリラックスしすぎててもイマイチだったりしますので、私も授業の時にリラックスしすぎないように気をつけています。笑
緊張は敵ではなく、適度な緊張は最高の状態、怖くないんだ、と思うことも大事かもしれません。
2、やっぱり練習量がものをいう
もし緊張で頭が真っ白になって、次の動作やセリフが飛んでしまっても、なんとなく「体が覚えている」…という状態にできれば良いですよね。月並みですけど、それには地道な努力による練習量がものをいうでしょう。
しかも練習量が十分に足りていると、「これだけ練習したんだから大丈夫」という自信がでてくるので、そもそも緊張しづらくもなりますよね。
私もそうです。もう何十回、何百回も同じ内容を話しているような講義であれば、あまり緊張しません。
一方で、もちろん準備不足で講義を行なうことがあってはいけないのですけども、極たまに急にどうしても代わりがいないからと頼まれて引き受けてしまった代講とか、それこそ講師になりたての頃とかは、準備不足・練習不足で普段以上に緊張していました。いけませんね。
十分な練習量、ほんとうに大事だと思います。
3、意識を自分ではなく相手へ向ける
本番までに十分な準備・練習をしていただいた前提で、当日の緊張対策は、これが最も重要なことだと感じます。
どういうことかというと、緊張をしてうまくいかない時って、自分のことばかり考えていたりしませんか。たとえば、
- 失敗したらどうしよう
- ダメな講師と思われたらいやだな
- いい授業をしていると思われたい
などなど、これらは全て「自分が」という言葉が暗につくことに、あるとき気づいたんです。
- 自分が、失敗したらどうしよう
- 自分が、ダメな講師と思われたらいやだな
- 自分が、いい授業をしていると思われたい
自分に意識が向いていると、変な緊張をしやすいなぁと、私は実体験として感じました。
そうでなく「自分はどう思われても良いから、目の前にいる人たちのために今できる最善を尽くす!!」という、ある種の開き直りでしょうか・・・本番でそんな気持ちになれたときから私は、自分にとって恐れ多い大先輩ばかりの場や、大勢の方々の前で講義を行なうときも、あまり緊張しなくなりました。
そういえば、ちょっと違うかもしれませんが、緊急の手術をされることの多い素敵なお医者さまが、昔こうおっしゃっていたことが心に残っています。
「自分の手で、ミリ単位の違いで人の命が左右されることもあって、そういう時はやはり緊張する。だけど自分が緊張していてもしょうがなくて、自分が緊張で失敗したら誰も幸せにならないんだ。いま自分の手にこの人の命がかかっている、絶対に助けなきゃと思った時、物凄い集中力が湧いてくるんだよね」
自分が緊張していても誰も幸せにならないので、とにかく目の前の人・物事に集中して今自分ができる全力を注ぐ、という感覚は職業に関わらず、繋がるところもあって大切なことなのかも、と感じました。
例えばスポーツ選手や俳優など、素晴らしいパフォーマンスを大勢の前で発揮される方々も、きっと、本番のその瞬間は自分が他人にどう見られているか・どう思われているかを気にするより、目の前のことだけに集中していらっしゃるのではないかと思います。
実技の試験をこれから受ける皆様は、審査員・試験官をとびきり大切なお客様やご家族ご友人だと思って、彼らに幸せになっていただけるように全力を尽くすことが結果的によい方向へつながるのではないでしょうか。
そうは言っても合否を決められる、採点されると思えば、自分がどう見られるかを気にしないでと言うのも難しい話かもしれません。ある程度は気にしてしまうのもしょうがないと思いますが、そこばかりに気をとられると変な緊張をすることがあるので(経験談)、できるだけ自分ではなく目の前の相手のためにどうしたらよいかというところに多くの意識を向けてみてくださいね。
そういえば緊張対策で「観客はカボチャだと思え」などと昔から言いますよね。私はカボチャやジャガイモよりも、大事なお客様だと思う方がよいパフォーマンスを発揮しやすい気がするのですが、実はカボチャも「人に見られている」という過剰意識をなくして目の前のことに集中しなさい、という意味では同じことを言っているのではないかと思ったりしています。
お世話になったボイストレーニングの先生が、こう言いました。
「あなたが声を発する限り、聴いてくれている人がいるのだからね。」
とっても素敵な、聴いてくださる方々がいらっしゃるからこそ、その方々へなんとか届けたいと想うから、私もいつも頑張れるのだと思います。
そんなこんなで。私なりの緊張対策について思うことでした。どなたかのお役に立つとうれしいです。
(なんて偉そうに書いておいて、もし今度お会いした時にすごく緊張していたら、笑ってください)
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お読みくださって、どうもありがとうございました。
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