【ご質問】品種コメントを暗記して書くのって、あり?なし?|ソムリエ・ワインエキスパート試験

※過去の記事から一部内容を移動し、加筆修正したものです。

 

結論、そのかたのレベル次第と思います。

 

ある程度、「この品種ってこういう感じ」で覚えているのは良いと思いますけど、「この品種だからこう書かなきゃ」は危ないので、気をつけてくださいね。

体得系の上達

スポーツやビジネススキルなど、あらゆる「体得系」の分野で、下記のことがよく言われていることと思います。

(※この具体的なソースが思い浮かばないので、もしご存知でしたらご教示ください。レベルや注釈は、私の解釈で勝手に書いています)。

ごく一部の天才的な方を除いて、普通の方は、何かを始める時に最初はレベル1の状態です。頭でも分からないし、もちろんできない。

そこから、頭ではわかるようになって、でもまだ体がついていかない状態がレベル2。

頑張って一生懸命意識しながらやれば、なんとかできるようになった!という状態がレベル3。

もう体得して無意識にできちゃう状態がレベル4。自転車にすいすい乗れちゃう感じですね。

レベル次第とは

もちろん能力は高いに越したことはないけど、ソムリエ・ワインエキスパートの二次試験突破に最低限必要なのは、レベル3と思います。あれこれ意識して一生懸命考えて、なんとか大まかにできる状態。

レベル3もしくは4の方が、「きっとあの品種だ」と思い、そこに寄せたコメントをしていく…というのは、ある程度アリだと思います。なぜなら、大まかに合っている可能性が高いからです。

しかし、レベル2以下の方にはオススメしません。

例えば「テイスティングの仕方やコメントの言葉の選び方、品種や産地の特徴という基礎知識は学習して大体頭に入っているが、まだアルコール度数や酸の量など基礎的な分析力が育っていないので、全体的な推論があまり当たらない」と言う状態の方はレベル2でしょう。

この状態の方が、短期間の学習で受験テクニックだけ覚えて、例えば「ハーブの香りがするからSauvignon Blancだ!」などと少ない要素で品種や産地を安易に特定し、そこに寄せた品種のコメントに猛進すると、あぶないです。若い爽やかな白ワインは大なり小なりハーブの香りがしたりもしますよね。

ちゃちゃっと結論を決めて暗記したコメントを書いて早く楽になりたい気持ちはよくわかるのですが、大外しする危険があり心配なので、できればやって欲しくありません。。。

長い時間の集中力が必要なので苦しいのですけど、最後まで早合点せずに、疑り深く確かめながら分析を続ける精神力を鍛えてください。

例えば、「迷ったら白は全部シャルドネのコメントを書けばいい」とかで運良く受かっちゃった方々に対して、そんな有資格者ってどうなの?というのは確かに私も思いますけど、それだけじゃなくて、単純に合否に関してのリスクも高いから、品種を決めつけてコメントを書くことはあまりやって欲しくないのです。

人間の先入観は大きくて、一度「こうだ!」って思うとそこに寄せたものしか見えなくなっちゃったりするから、気をつけてくださいね。濃淡が明るいからPinot Noirだ!って思っちゃうと、Nebbioloの収斂性はわからなくなります。本当に。

急がば回れで、よく勉強されている方こそ特に、いつもピュアな心でワインと向き合いましょう(^^)

無難な選択がお勧めだけどしかし

コンクールで優勝したい!とかでしたら異なると思いますが、これは「全体的に一定以上合っていれば良い」という試験なので、わざわざドンピシャ狙いのチャレンジングな選択をする必要はないでしょう。

今のところ基本的には、迷ったら「やや軽い」「やや強い」などの無難な選択肢を選んでいくことをお勧めします。

ただ、毎年私も講座等で星の数ほど模範解答を作っていて思いますに、、、仮に同じ人が同じワインに関してコメントを作成する場合でも、方針次第で如何様にもバリエーションが作れるんですよね。

無難な選択肢ばかり選んだ人が高得点になるような模範解答も作れるし、やや攻めっ気のある模範解答も作れます。私はいつも、その場で飲んでみて、両者の中間くらいを目指して作っています。

たとえば、これまではグラスは「中庸」が無難でしたが、最新の傾向として、さっぱりしたワインは「小ぶり」のみが正解のことが多くなってきましたよね。

なんていうんですかね、言葉が悪いかもですが「中間点殺し」みたいな模範解答も、作ろうと思えばいくらでも作れるでしょう。その辺りは協会と世の受験対策対策のいたちごっこと思います。なので、あまりテクニックだけに偏りすぎず、目の前のワインにちゃんと向き合っていただくことを、私は真剣にお勧めしたいです。そのほうが、もし用語がガラッと変わったりとか、イレギュラーなことがあった場合も、落ち着いて対応できるでしょう。(そもそも毎年大なり小なり用語は変わりますし。)

ということで

ご自身のレベルに合わせて、作戦を考えてください。

ちなみにレベル2からレベル3へ上がるには、「先生!見分け方を教えてください!!」と聞きまくったりするのも無駄ではないのですけど、すでに頭である程度わかっていらっしゃる方は、テクニック的な知識だけさらに増やそうとしても効果が薄いと思います。

よく例えられますように、泳げるようになりたいなら、水泳の教科書を読んでいるだけではダメ、著名な選手にアドアイスをもらっているだけでもダメ、結局ご自身が水の中に入って練習しなければ泳げるようにはならないのと同じです。

大切なのは、得た知識を活かして体得するための、ご自身の鍛練でしょう。テイスティングの基礎力は、たった一回の講座受講等では、残念ながらつきません。

例えば「毎日自宅でできる練習は?」にも書きましたように、もしアルコール度数の低中高がとれないなら、大まかにとれるようになるまで12%以下と13%程度と14%以上のワインを並べて毎日ひたすら練習するとか、同じワインにウォッカを入れて度数が上がるとどうなるかをひたすら検証してみるとか、そういう地味な努力も、したことのない方は本当に急がば回れでやってみてくださいね!

(※全体的なボリューム感に関わるので、大まかなアルコール度数は大事です。でも大まかでいいです。理由はこちらを参照してください→「毎日テイスティング練習してるけど暖簾に腕押しでどうしていいやら…」)

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富田葉子

富田葉子

J.S.A.認定ソムリエ/ワインエキスパート WSET® Level 3 Award in Wines シェリー原産地呼称統制委員会認定 2014年最優秀ベネンシアドール JCAAコミュニケーション能力検定1級 日本滑舌能力検定協会認定講師(滑舌能力検定1級) 日本朗読検定協会認定講師(准プロフェッサー) レストラン勤務時代にネッド・グッドウィン MWの元で働き、ワインの魅力の虜になる。ワインの勉強は生粋のアカデミー・デュ・ヴァンっ子で、アカデミー・デュ・ヴァンが大好き。 みんなが仲良くなれる優しい雰囲気、聞き取りやすい講義と分かりやすい資料が特に好評。試験講座受講生の合格率も高く、「暗記こそ心で伝える」をモットーに、どこまでも寄り添って全員を合格へ導く。 15年間シングルマザーの経験があり、近年まで自身が「家事育児を両立し勉強もしながら忙しく働く母ちゃん」であったことから、限られた時間でも楽しくしっかりと身につけていただくことに心血を注いでいる。受講生との交流を大切にし、クラス会も活発に開催。 近年は滑舌能力検定や朗読検定の講師資格も取得し、ただワインに詳しいだけの講師ではなく、伝え方のプロフェッショナルでもありたいと日々努力を続けている。

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