試験後のおすすめ|ソムリエ・ワインエキスパート試験

※過去の記事をリニューアルしています。

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「試験合格がスタートライン」

よく聞く言葉ですね。

勿論そんなことは皆様、百も二百も承知でいらっしゃると思います。

しかし、実際に試験後もしっかりとブラッシュアップを続けてくださる方がどのくらいいらっしゃるかというと・・・残念ながら全員ではないと思います。皆様お忙しいですし、続けるって、努力が必要なのですよね。

私も実際に、こんな失敗経験があります。

「試験が終わったら、間に合わなくて手が回らなかった範囲等も含めて落ち着いてしっかりと勉強したいと思っていたけど、今まで仕事もプライベートも試験以外の全てを後回しにして勉強していたから、いざ試験が終わってみたら、その後回しの挽回に追われて他に何もできず、年末年始もなんだかんだで忙しく、年が明けて新年度になったらまた忙しく、結局なにもせずに時が経ってしまった・・・」

たぶん、私以外にも、いらっしゃるんじゃないかなって思います。

そうなんですよね。しっかり行動に移さないと、「やろうという気持ちはあるのだけれど」で時間が経過してしまいます。

人間は忘れる生き物ですから、せっかく身についたワインの知識もテイスティング能力も、勉強やトレーニングを離れるとだんだん失われていきます。もったいないので、少しずつでも続けていただけたらいいなと思います。

「もうワインの勉強は頑張りすぎでお腹いっぱい、しばらくしたくない、休みたい!!」

という方もいらっしゃるかもしれません。そうですね。すっごく頑張られましたものね。イヤイヤやってもしょうがないので、そういう方は、ちょっと一休みされるのも良いと思います。ただ、試験のための勉強と、その後のブラッシュアップの「試験のためではない勉強」は全く性質の異なる学習だと私は感じますので、そちらの楽しさをぜひ堪能してほしいなと思います(後述)。

というわけで、可能でしたら試験後も少しずつでも勉強を続けてくださると嬉しいなということと、

「せっかく学習習慣がついたし、試験で終わらず成長のために、次のステップへの勉強も少しずつ始めて行きたい。でも何しよう?」

というお声もしばしばいただきますので、試験後の方々への私の個人的なおすすめを書きます。

ソムリエ・ワインエキスパート試験以外にも、ワインやお酒には様々な資格試験がありますね。

それぞれの試験によって求められる解答が異なり、幅が広がりますので、落ち着いたら他の資格試験も挑戦されると面白いでしょう。試験って、なんだか抑圧と解放のコントラストが、独特の醍醐味だと思います。(参考:「ソムリエ試験後、WSETってどうなの?」)

ただ、試験も良いけどできればぜひ、試験後こそ本来のワイン学習を・・・と言ったら、受験が嘘の学習みたいなのでそんなことないのですけど、純粋に「楽しむ」「深める」ということが大前提での試験以外のワインの学習もして欲しいなと私は思っています。

※決して試験やコンクールを否定するモノではありません。試験をクリアしたりコンクールで良い成績を修めたりすることに楽しさを感じやすい方は、私にオススメされなくてもご自身でどんどん挑戦されるだろうと思いますので、そうじゃない部分も大切ですよというところに重点を置いて今回は書いています。

以下、試験以外の学習を私がおススメする理由3つです。

試験以外の学習をおススメする理由①:見る角度が異なるから

どんな試験であっても、あくまで試験勉強である限りは、試験において大切な内容を中心に学習して、試験に出ないところは端折られやすいという面は共通しています。

試験によく出るところが、必ずしもワインの学習の中で本質的に重要な部分ばかりであるとは限りませんよね。試験ではあまり出題されないために割愛されてしまう部分でも、本質的にはとても重要なことや面白いことは、たくさんあるでしょう。

試験ありきの講座とそうでない講座では根本的なスタンスが大きく異なるので、たとえば「カリフォルニアについて」など同じ学習範囲であったとしても、重要事項や見る角度は異なります。

もし「試験後は、暗記だけでなく理解をもっと深めたい」と思われるならば、「その産地はもう学習した」などと思われずに、試験系でない講座や本での産地学習を積極的にしていただくことをお勧めします。

試験以外の学習をおススメする理由②:伝える側になった時に役に立つから

楽しく深める「試験ありきではない学習」は余談も多いため、ご自身が「教える側、伝える側」になったときに大きな効果を発揮するでしょう。

かつて私も猛勉強をしてソムリエの資格を取得し、当時働いていたレストランで社内スタッフ向けのワイン講習を担当させていただくことになったのですが、、、「試験問題が解ける」ということと「人にわかりやすく説明する」というこは全く別のスキルですし、恥ずかしながら丸暗記の知識が多かったため根本の説明が分からず「どう言ったら伝わるのだろう」の連続でした。

試験勉強ばかりで進めていくと、いつか伝える側になった時に壁に当たりやすいように思います。特に基礎学習をあまり行わずに気合いで試験に挑まれた方は、「今更」と思わずに、後からでも 絶対に学ばれた方がいいと思います。

もし既にご存知の内容でも「自分も講師と同じかそれ以上にわかりやすい表現で伝えていくんだ」「あの先生は一体どうやって噛み砕いて説明するのかな」という目線で講義を聞くと、新しい発見が多く、とても勉強になるはずです。

試験以外の学習をおススメする理由③:試験系とは異なる面白い先生も多いから

これは本当に個人的な感覚なので賛否あると思いますけど、、、

各分野の、もはや変態的な域で(失礼)お詳しい専門の先生って、試験系の講座をあまりやりたがらない方も多いように感じます。「受験講座なんかよくやるね?自分は死んでも嫌だね」って仰る超絶面白い先生は、何人もお顔が思い浮かびます。笑

もちろん受験講座は受験講座で、やり甲斐や楽しさがあり、私はそれを強く実感しています。

しかし、受験講座は嫌だと仰る先生方のお気持ちも、わかります。試験対策だとどうしても試験優先のため、面白いところや知って欲しいところを話す時間がないことが多々あるので、講師としてその分野に愛が深ければ深いほど、欲求不満になるんですよね。。。

もっと話したい!でも話している場合じゃない、本当はアレとかコレとか聞いて欲しいんだけどなぁ、今はしょうがないなぁ、みたいな時は私もあります。ただそれは、試験系の講座と主旨が異なるので、割り切りや気持ちの切り替えが必要だと今は思っています。(参考:「ワインの受験講師として思うこと」)

受験講師としてはバッサリ要約上手なほうが優秀と思いますので、各分野に対してむしろ少しドライな気持ちで接していらっしゃる先生の方が、向いているような気もします(試験系を得意とする先生方が個々の分野に深くないとか愛がないとか、そういう意味ではないです)。

幅広くまとめ上手な試験対策系の先生とは異なる、一つのことにとても深い愛を持ち突き詰めている専門の先生のもとでも学ばれてみると、また面白いんじゃないかなと思います。

って、そんなこというと試験系の講座を多く担当させていただいている自分の首を締めるんですけども。笑

試験後も会いに来てくれたら嬉しいです。もし受験と同じテーマでも、試験系とは別の視点の授業をするように心がけていますので、異なる発見があると思います。

受験対策講座と楽しむ講座の具体的な違いについてとおすすめ

ソムリエ・ワインエキスパートの試験勉強は、とにかく範囲がめちゃくちゃ広ーーーーーいのが特徴ですよね。

幅広く基礎的なワイン用語が覚えられるので、その後にどんなワインの学習も楽しみやすくなっていることが、大きなメリットだと思います。

ただ、「深さ」という視点で見ると、試験対策という性質上マニアックな小話ばかりはできないので、楽しむブラッシュアップ系と比べるとそこまで掘り下げてはいないかな、という気がします。

ソムリエ・ワインエキスパート受験講座のいいところ:

  • 頑張れば、資格を取得し短期間で大量の知識が得られる
  • テイスティングコメントの「基本形」を一つ習得できる(JSA方式)
  • 一緒に苦しさを乗り越える独特の団結力が生まれやすい

デメリット:

  • どうしても詰め込み暗記は否めない
  • テイスティングワインがカジュアル価格帯縛り
  • 勉強に精一杯になる方も多いため、楽しむ系の講座ほどは全員が気軽に仲良くはなりにくい

楽しみながら深める系の講座は、上記のデメリット部分が解消できる感じです。

たとえば、試験後に楽しみながら深める系の講座は、LDVであれば「ミドル講座」がちょうど良いと思いますので、ミドル講座を例にします。

▼ミドル講座
https://www.duvin.jp/course/2173

テーマをご覧になると、テイスティングについてや各産地ですので、「もう学習したよ!」と思われるかもしれません。ところがどっこいです。

これも先生によると思いますが(受験以上に講師の自由度が高いので、多分先生によって全然違うでしょう)、

テーマが「フランス」なら、同じように見えても、

受験:
各産地の地区や川の名称等とA.O.C.の暗記が中心

ミドル講座:
なぜそのスタイルになるのか、歴史的経緯や踏み込んだ地理的特徴、活躍してきた人々など+余談

ミドル講座は受験と産地は重なりつつも、根本的な視点が異なり、受験で上辺を覚えてくださったものを肉付けする感じです。詰め込みでなく根本や背景の理解を大事にし、高級ワインも供出され、皆様試験に追われていないのでクラス会の開催回数や参加率も高いでしょう。受験講座を受けてくださった方も、座学で大事にするポイント・ワインの質・クラスの雰囲気などが異なりますから、両方受けてくださると視野が広くなるのでおすすめです。

テイスティングも「マルをもらえるコメントを書いて品種や産地を当てなきゃ」という試験のための勉強とは異なりますから、特に二次試験対策でもう疲れてしまった方こそ是非に。

詰め込み暗記は理解していないとすぐ忘れますので、なるべく忘れないうちがいいですね(^^)

【ご質問】ちょっと休んで、今までの勉強を整理・消化してからがいいかな?

結論、立ち止まらない方がいいですよ。

冒頭に書きました私の失敗例のように、ちょっと休んで消化しようと思っても日々の忙しさに追われて結局たいして学習が進まなかったり、我流でだんだん知識もテイスティング力も下がっていく方が多いように思います(経験上、自戒を込めて)。

せっかく毎週頑張って勉強され、その努力によって少しずつ向上してこられたのに、それが下がっていってしまってはもったいないですから、可能ならどんどん先に進みましょう。

「ちょっと難しい」をずっと続けていくのが最も成長に良いのですよね。

未消化の部分は、本当に大事なことであれば必ずまた出てきますから、そのときに改めて消化すれば良いんです。むしろ、ご自身が立ち止まっているとレベルが変わらないので、なかなか消化できなかったりします。

ステップアップしていった方が、後でまた出てきた時には「なんだこんな簡単なことだったのか」と難なく消化できることも多いです。

勉強は贅沢ですから、ぜひ前に進んでもっと楽しんでください✨

おまけ:とみた体験談

私がワインスクール受講生だった頃は、基礎を飛ばしたままいきなり受験講座を受講し、試験が終わった後はそのまま秋から最も上級者向けのコースへ進みました。

今振り返れば、「今以上にワインに関して何も知らなかったなぁ・・・」と痛感しておりますが、恥ずかしながらソムリエに合格した直後は、ちょっぴり自分が偉くなったような良い気分になっておりました。

「基礎?そんなのもう知ってます。中級の産地学習?それも、もう知ってます。こんなにたくさん勉強してソムリエ試験に合格したのだから、初級や中級では簡単すぎるのではないかしら」と当時は思っており、上級向けの講座を選びました。

結果、先生やクラスメートにも恵まれて、おかげさまで面白かったです。とても面白かった。だけど、やっぱり周りの方々と比べると自分は基礎の部分が抜けているなぁと、随所で感じました。

私は、受験と上級向けの講座が終わった後に、初級→中級→もう一度リベンジで上級と立て続けに受講しました。

それが、とても良かったです。試験に合格し上級講座を受講した後でも、初級や中級には新しい気づきと発見がありました。受験では端折らざるを得ない根本的なところまで触れてくれるので、「今更だけどそうだったのか!」と腑に落ちることがいっぱいありました。そして、大まかに講師がどんな内容を言いたいかをわかった上での受講はこんなにも理解しやすいものなのか、と楽しくなってしまうくらいに、するすると頭に入りました。

もちろん初級→中級→上級と順に進んだ方が理解はしやすいと思いますが、自分がそんな感じでしたので、ご受講の順番はそんなに拘らなくても、ご興味があればどこからでも良いんじゃないかと思います。

いずれにせよ、可能なら最終的には全てご受講されることを強くお勧めします。断片的だった知識が丸くつながりますので。

体系的な学習は昔、もう何年も前にしたよ・・・という「お久しぶり」な方も、昨今はワインの世界も一年一昔ですから、よかったらぜひ。定期的にアップデートをされると、知っているつもりで知らなかった!という新しい発見が多々あると思います。

まとめ

試験後が終わってからが楽しい勉強ですので、ぜひ続けてくださいね(^^)

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お読みくださって、どうもありがとうございました。

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みなさまとお会いできますこと、心から楽しみにしています(^ ^)

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<今、ソムリエ・ワインエキスパート試験関係のおすすめ講座&記事>

▼2024年度ソムリエ・ワインエキスパート資格対策【実戦】講座(全20回)
始まっていますが、途中入校歓迎です
・ご来校(渋谷&新宿):https://www.duvin.jp/course/2211
・オンライン(水曜19時。常に録画あります):https://www.duvin.jp/course/2261

▼2024年度 ソムリエ受験対策【サービス実技講座】(全8回)
https://www.duvin.jp/course/2263

▼おすすめの勉強法
https://tomiwine.com/good-6

▼ソムリエ・ワインエキスパート試験の初期によくいただくご質問
https://tomiwine.com/sowe

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