講師によって言うことが違う!|ソムリエ・ワインエキスパート受験 テイスティング対策について

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いつもありがとうございます。今日も一日、皆様に素敵なことが沢山ありますように🙏✨

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※過去の記事を加筆修正して、再UPしています

※追記以降を別記事にしておりましたが、結論が少し異なり、別々ですと伝わりにくい部分もあるような気がしましたため、一つにまとめました

 

「ソムリエ・ワインエキスパート試験のテイスティング対策、先生によって言うことが異なるので混乱する」というかたを、毎年お見かけします。

たしかに、講師によって異なるように感じたら、真面目で素直な人ほど混乱されるのかもしれません。

 

この記事が少しでもお役に立てばいいなと思います。

なぜ講師によって異なるのかというと

座学の一次試験は、出題に対して絶対的な正解がありますが、二次試験のテイスティングコメントは、そうでないのですよね。

どうしても、テイスティングには感覚的な部分があります。香りや味わいの感じ方は人によって幅がありますし、同じ人でもそのときの体調や環境によって多少は感じ方が変わったりもするでしょう。

一説によると、どの香りをどのくらい少ない量で感じ取れるかという閾値は、人によって1000万倍もの開きがあるそうです。ワインのように様々な香りを持つ液体を、閾値のパターンが異なる複数の人間が嗅いだら、異なる印象を受けるということは、当たり前に起こるのですよね。これはベテランの有名ソムリエさんや、著名な評論家の方々同士でも起こるようです。

ですから、ワインスクールで模範解答を作成する講師によって選択する用語が異なったり、ソムリエ協会さん公式のテイスティングコメント解答(※以降「公式解答」)が年によって傾向が少し異なったりするのも、当たり前といえば当たり前です。

その前提で、テイスティングの試験に受かる法則を作ろうとすると、やはり過去の公式解答を見て、傾向と対策を練ることになります。

ただ、毎年分析していて個人的に思うのですが、公式解答も年によって「あれ?これに、この言葉を選ばれるのですね?少し今までと違いますよね?珍しいですよね?」と思ってしまうような箇所があります。おそらく公式解答を作成されている方々が毎年同じではないのかも?とも思ったりしつつ、そこは公表されていないのでわかりません。

加えて、公式解答では、ワイン情報が生産国・品種・収穫年のみの公表で、具体銘柄の情報はないため、実際にどんなワインだったのかがハッキリわかりません。たとえば「生産国はフランス、品種はシャルドネ」といっても、北のシャブリと南仏の樽のきかせたものでは、全く異なりますよね。でも、そこは具体的で確実な情報がないのです。

栽培や醸造の研究が進み、生産者の選択肢が無数にある現代では、同じ生産国・品種・収穫年でも、そのスタイルは実に多様で、さらに全く同じ銘柄のワインでも多少はボトル差もあることでしょう。

なんていうか、ワインって、変数が多すぎるのですよね。笑

つまり「シャルドネなら絶対にこれ」みたいな確固たるものはなく、私たちワインの受験講師がお伝えする分析情報やロジックも、あくまで個人の主観による推測でしかありません。

しかし「まあ何事も時と場合によるよねぇ」「結局その人の感じ方次第、目の前のワイン次第だよねぇ」では試験対策になりませんので、できるだけ皆さまが迷わず済むように、各講師が一生懸命「こういうときはこう」というロジックを作ろうとし、シンプルに狭めれば狭めるほど例外も多くなるため、そりゃ難しいよねぇということになっちゃうわけです。

ちなみに、もし自分が受験生だったらと考えると、試験のテイスティング学習用にも、ソムリエ協会さん公式の教本があったらいいなぁ、なんて思うかもしれません。座学の教本みたいに、これをしっかり読み込んで覚えれば満点が取れるというもの。もちろん、すでにある座学の教本のテイスティング章の内容も、書籍「テイスティングは脳でする」等も勉強になるけれど、もっと、いざ実際の試験で点数を取って合格するためにどうしたら良いかという、体系化されたメソッドが明確に書かれていたら勉強しやすいかも、と。

ただ、これはもしかするとワインスクールの講師陣も同様で、団体内に優秀なソムリエさんが多ければ多いほどメソッドも多様ですし、しかも各自がご自身のメソッドに強い自信や信念を持たれていると思いますので、なかなか全員が納得・見解一致する統一の教科書というのは難しいのかなぁ、なんて勝手に思ったりもします。

それに、私も毎年の資料を作ったり講義を行なったりしていて思うのです。テイスティングのように感覚の部分があるものを、ガチっと言語化・体系化して伝えるのって、本当に難しいのですよね。。。私どもワインスクール講師にも仕事の余地を残してもらえているのはありがたく、腕の見せ所かもしれません。

実は同じようなことを言っているかも

とはいえ、講師によって違う!というのは、ちょっと困りますよね。

たとえば私も、声のトレーニングをしてもらっているときに、似たような想いを経験しています。

<例1 口を開ける or 開けない>

  • 先生A:「母音のあいうえおをハッキリと、口を大きく開けましょう」
  • 先生B:「口は開けすぎないほうがいい、君は開けすぎだ」

<例2 お腹を凹ませる or 凹ませない>

  • 先生C:「腹式呼吸で、息を吸うときにお腹を膨らませ、吐くときにへこませましょう」
  • 先生D:「腹式呼吸で息を吐くときにお腹をへこませると安定しないので、息を吸うときにお腹を膨らませ、吐くときにへこまないようにしましょう」

<例3 歌と同じ or 異なる>

  • 先生E:「話し方の発声も歌の発声も、基本は同じです」
  • 先生F:「話し方の発声と歌の発声は、全然違います」

全く反対のことを仰っているように聞こえるんだけど、どっちなのーーー!!

って思ったこと、私も何度もあります。

でもこれ、今は、どちらの正しさもわかるようになりました。

自分が一生懸命にインプットをしようとしている時は必死で、先生方の仰ることの些細な違いに迷っちゃうし、気になっちゃうんですけど、自分なりに落とし込もうと色々とやってみて、もう一歩進んだ段階になると、あぁ双方こういうことを仰っていたのか、なるほど、と後から腹落ちすることもよくあるように思います。

先生方が一見全然違うことを言っているように聞こえる(見える)ことがあったとしても、実は最終的にたどり着くところはさほど変わらなくて、そこへたどり着くまでの道筋が複数あるから途中経過として大きく異なるように見えるだけで、結局は似たようなことを仰っているという場合もあるのではないでしょうか。

ちなみに、ワインに限らず運動系のトレーニングやダイエットそのほか様々な業界でよくある「〇〇(←人名)流、〇〇メソッド」等も、ブランディングの上手な誰かが自己流だと真新しいように名付けただけで、本当は昔からある王道の方法のアレンジのひとつで、言ったもん勝ち状態になってたりすることもありませんか。従来とは全く異なるオリジナルの新しい方法を生み出すことって、実際はそんなに容易じゃないですよね。

「違うようで実は似たようなことを言っている」、意外と多いかもしれません。

素直にやってみましょう

いろんな先生がいろんなことを言って混乱する!という方は、混乱している時間ももったいないので、講師に言われたことはとにかく素直にやってみることをお勧めします。

思慮深いことは決して悪いことではないですし、私も自分が腹落ちしないと前に進めない頑固な面を持っているので、「見様見真似でとにかくやれ」「つべこべいわず体で覚えろ」みたいなのは正直苦手なのですが、それを苦手と言っていると、実技系を短期間で上達しようと思うと損なことも多いように思います。

まるで無邪気な子供のように、失敗しても恥ずかしがらず、意味がわからなくても飲み込めなくても、とにかくがむしゃらに先生に言われたことをやってみて、ダメ出しされたことを素直に直して、わからないことはなんでも質問して、と言う方が、やはり伸びやすいですよね。

逆に、講師に言われたことを素直に行わず、「他の人はこう言ってたのに」「それは自分には合わない」「そんなことやって何になるんだ」みたいなことをおっしゃる方は、、、あんまり、、、ご想像にお任せします。

あと、もちろん講師は受講生に公平に接する前提で、ただ講師も人間ですので、前者と後者どちらの受講生のほうがと考えますと・・・

※参考:講師に対して他の先生はこう言ってたのに…とは言わない方がいいかもよと言う話→「【ご質問】二次対策講座を効果的に受講するには?

ワインに限らず、まだ自分ができない・わかっていない段階では、できる人と同じ景色が見えないので、そもそも「腹落ち」が難しいかもしれません。

一定以上のレベルに到達して、俯瞰できるようになると、また見え方や捉え方が違ってくることもあると思います。もし最初は納得できなくても、まずは目の前の先生を信じてやってみてください。

迷うなら一人の先生、違いを楽しめるなら複数の先生

これが最善とかではなく、あくまで一例としての自分が受験生だったときの経験談です。

私は、一次試験が終わり二次試験対策が本格的に開催される時期には、一次試験の受験対策講座でお世話になった先生方はもう「どういうワインに対してどういうコメントをされるのか」が大体わかっているので、まだ受講したことのないよく知らない先生が担当される講義を優先的に選びました。

結果、たしかに先生によって結構違うので、ちょっぴり混乱することもあったり、「やっぱり慣れ親しんだ先生の方がわかりやすいなぁ…」と思うことも多々ありました。

でも、いろんな先生の考え方が聞けたことが、私は楽しかったし良かったと思っています。

講師による違いを「なるほど、この人はこうなんだな」と冷静に受け止めて上手に取捨選択ができるタイプの方や、色んな見解を聞くのが勉強になる!とポジティブに楽しめる方なら、複数の先生方の見解を聞くと良いでしょう。

逆に、講師の違いによるちょっとした見解の差異で混乱しやすく、それが精神的にマイナスに働く可能性のある方や、あれこれ聞くと迷子になっちゃう方は、そのようなやり方ではなく、ご自身のしっくりくる一人の先生の仰ることだけを100%信じて突き進むと良いでしょう。

個人差はあるとはいえ、嗅覚も味覚も訓練で向上するため、ワインスクール等で教鞭を取られている先生方は、少なくともこれから資格試験を受けようとされる方々と比べたら、きっと、「より多くの種類の香り」を「より少量で」知覚できる可能性が高いと思います。その先生方が、今までの傾向を研究し尽くした上でテクニックを伝授したり模範解答を作成されていますので、基本的にどの先生についていっても合格はできるはずです。

人なので相性はあると思います

とはいえ、「ご自身のしっくりくる一人の先生」を見つけるのがまた大変だったりしますよねぇ。

どの先生がご自身に合っているかというのは、これは受けてみないとわからない面もあるでしょう。

再び声のトレーニングの話で恐縮ですが、私もこの数年で様々な声の先生方にご指導いただき(正直結構なお金と時間を使いました。笑)、色々と思うことがありました。

まず、世に言われている通り「良いプレイヤーと良い監督は別」かも、と実感しました。

現役または元、声優・ナレーター・アナウンサー等の声のプロとして活躍されているすごい先生よりも、有名ではないけれど初心者と同じ目線に立って一生懸命やってくださる先生の方が、自分はモチベーションを保ちながら楽しんで取り組めることも多くありました。

その業界でアスリート的に素晴らしい実績があったり、インフルエンサー的に知名度があったりする方が、講師として教える側になっても素晴らしいかというと、これはわからない。

プレイヤーとして実績のある方は「元からその分野が得意な人」も多いため、できない人の感覚がいまいちわからないこともあるかもしれません(もちろんそうでない方もいらっしゃるとして)。

もしこれを読んでくださっている貴方が、テイスティングに自信がなく初心者なのであれば、講師のプレイヤーとしての実績や知名度等に関わらず、とにかく「できない人ができるようになるためには」ということを真剣に考えていて、同じ目線に立って親身に教えてくださる講師が向いているかもしれません。

(※初心者教育ほど奥が深く技術が必要だとも感じております。。。参考:「初級講座の講師として思うこと」 https://tomiwine.com/blog-40

ある程度できるようになってくると、教育そのものに力を入れている講師でなくても、講師業は片手間でも現役プレイヤーとして実績のある先生とか、そういう先生のほうが面白くなってくるかもしれませんね。

ワインスクールでクラスを選ぶときの超個人的おすすめ」にも書きました通り、多様なニーズと多様な講師の特色がありますので、たとえば「目の保養がモチベーションに重要だ!」という方であれば、講師としてのスキルがどうであるかよりも、ビジュアル重視で選んでも良いと思うんです。それぞれですよね。

また、ある時点で特定の先生を素晴らしいと思っても、あくまで教わった時点の自分にはそれが合っていたというだけかもしれません。

ご自身のレベルが変わってくると、昔はピンとこなかったメソッドや、イマイチ理解できないと思っていた先生の仰ることがしっくりくるようになってきたりとか、そういうこともありますよね。まだ当時の自分が理解できなかっただけ、的な。

受講生側も成長しますし、同じように講師側も成長しますので、「この先生が絶対いい!」「この先生は絶対ダメ!」などもあまり思い込みすぎず、柔軟に考えられて、楽しんで学べることを祈っています。

結論

  • ワインの幅もあるし(産地品種収穫年のみで具体銘柄は公開されていないので、たとえば「フランスのシャルドネ」と言っても、キリッとしたシャブリから南仏のトロピカルなものまで様々で、そこはわからない)、人によって感じ方も異なるので、講師によって異なることや、公式解答も完全に一定ではないことも、ある程度はしょうがない
  • できるようになるまではできる人と同じ景色が見えないので、講師によって全然違うことを言っているように思えても実はそんなに違わないこともある
  • 迷うなら一人の先生、違いを楽しめるなら複数の先生
  • 人なので相性はあると思う、しっくりくる先生が見つかることを祈ってます

全ての先生方が、皆様を応援しています。

試験突破はもちろん、その後も、ますます楽しいワインライフになりますように。

以下追記します

後日、もう少し具体的に思い浮かびましたので追記です。

講師によってのテイスティングの試験対策の違いは、

①過去の公式の模範解答の傾向をどこまで反映するか
②どこまでシンプル化するか
③ワインのラベルに書いてあるスペックをどこまで気にするか

上記も結構、差が出ると思うのですよね。以下、書いていきますね。

更に異なる要因①過去の公式解答の傾向をどこまで反映するか

たとえば、「輝き」という項目は殆どの場合において「輝きのある」が正解ですが、2014年だけは、全ての白ワインで「落ちついている」のみが正解、同年は赤ワインも多くが「落ちついた」が同時正解となっていて、とにかく落ちつきまくりの年でした。

考えてみてください。もし皆様がソムリエ・ワインエキスパート試験の二次対策の受験講師なら、その翌年に「輝き」に関してどうアドバイスをしますか?

A「直近の公式解答の結果を鑑みて、『落ちついている』を選ぶべき」

B「今まで圧倒的に多い、『輝きのある』を選ぶべき」

翌年の2015年以降は「落ちついている」が多用されることはなく、また「輝きのある」に戻りましたので、対応としては後者のBが正解だったのですが、これは結果論なのでわかりませんよね。もしかするとAの方が良い場合もあるかもしれません。

同じような例として、2021年になってから、2019-2020年の公式解答がまとめて二年分出されたわけですが、その二年分に限っては赤ワインのタンニン分で「溶け込んだ」が多用されており(NZのピノ・ノワール、米豪のカベルネ・ソーヴィニヨン、サンジョヴェーゼ、カベルネ・フラン)、使う場合の定義が捉えにくいので私も少し悩みました。翌年の2021年にどうなったかというと、「溶け込んだ」は一切使われていませんでした。これも結果論ですが、前述のB戦法が正解ですね。

このような前例が多々あるため、基本的にB戦法の考え方で、ただ一応、直近のイレギュラーな部分もお伝えする、という感じに私はしています。

もちろん、それが流行も含めて近年の主な傾向になっていくと思われるならば、対策に反映します。

というわけで、しばしば公式解答にもその年の個性があり、それを最新の重要変更点として優先するか、その年限りの個性としてあまり優先しないのかも、講師によって異なると思います。

同じデータを元にしていても、講師によって受け取り方、判断の仕方が異なるので、細部が変わってきやすいのですね。

更に異なる要因②どこまでシンプル化するか

前述のように、公式解答を分析していると、その年の個性がしばしばあります。

これは悪いと言っているのではなくて、試験に限らずワインのテイスティングコメントにも国内外で流行りの言い回しがその時々であったりもしますから、普通のことだと思います。人の使う言葉は時代と共に変わっていきますし。

それを、どこまで受講生に伝えるかは講師によって異なるとともに、受講生も、どこまで細部の情報を求めるか、どこまで伝えてくれるのが気持ちいいかも、人によって異なるでしょう。

たとえば、私は「基本的にはこう。ただし、こう言うこともあるよ」という伝え方をしばしばするのですが、そうではなく「これはこうです!」と言い切ってくれないと心地よくない方もいらっしゃると思います。塩梅も難しいですね。

もちろん、それぞれの先生のスタイルで良いという前提で・・・

私は「あまりシンプル化しすぎない方が良いのでは?」と思っています。

理由は、そもそもワインは非常にバラエティ豊かで、変数が多く複雑な飲み物なので、シンプル化しようとすればするほど、「例外」も多くなってきちゃう気がするからです。

シンプル度の強いロジックを好んで学習されてきた方が、二次試験対策で色々飲むと例外に多々直面して、混乱されている姿をしばしばお見かけします。たとえば「外観でこれを選んだら、香りはこれ、味わいはこれを選ぶ」みたいな戦法。そのように1つや2つの要素から機械的に連動して選べると楽でしょうけれども、私はあまり推奨しない派です。繰り返しになりますが非常に例外も多くなるからです。近年の出題アイテムを考えると、特にそう思います。

結局、機械的に選ぶと「根本をわかっていない」ので、例外に直面するたびに混乱したり、本番で傾向の異なるアイテムが出た場合に太刀打ちできず盛大に大外しをするリスクも高まるので、それは気の毒だなぁ思うからです。

(※参考:レモンイエローなら、柑橘類、すいかずら、などと自動的に選ぶのは私はあまりお勧めしないという話→「【ご質問】色の見方が難しい!オレンジがかった、紫がかった、黒味を帯びた、縁が明るい、の微妙なラインの場合の判別が難しいし、それに寄せてコメントを作ると全体的に模範解答と違っちゃうことがあって困るんだけど・・・」https://tomiwine.com/jsatt-22

この辺りの考え方は講師によって様々と思いますので、講師のロジックや、講師作成の模範解答の傾向も変わってくるでしょう。

更に異なる要因③ワインのラベルに書いてあるスペックをどこまで気にするか

全くノーヒントの完全ブラインドで模範解答を作成し、それをそのまま配布する講師やスクールは、滅多にないと思います。

スペック(品種や産地などの情報)が多少なりとも頭にあると、先入観なく分析しようとしても、講師も人間なので無意識にそちらへ解答が寄ってしまうこともあるかもしれません。

講師によっては、最初から「この品種、この産地、この収穫年、このアルコール度数だからこう」というふうに機械的にコメントを作成される方もいらっしゃるかもしれません。

いずれにしても、完全なるブラインドでコメントを作成する受験生と講師では、感じ方が異なっている場合もあるのではないでしょうか。

その大なり小なり講師の頭にあるワインのスペックに、どこまで寄せたコメントを作成するかというのも、わりと講師によって異なると思います。

ちなみに私が模範解答を作る時は、以下のようにしています。

  • 可能ならば、何が出るか、テイスティング前に見ない
  • 大部分は感じたまま、でも過去の傾向やスペックも多少加味して調整する
  • アルコール度数など表記のスペックと異なりそうな場合は、自分はそう感じたということを口頭で伝える

私個人が感じたままにしすぎても、試験で点の取れるコメントにならない可能性がありますし、過去の傾向やスペックに寄せすぎても、目の前のワインとかけ離れてしまうことがあるからです。

※ラベル表記のアルコール度数も、もしかして絶対ではないかもしれませんし。※参考:「【ご質問】アルコール度数がなかなか当たらない!

本番の公式解答はどなたがどのように作成されているかは存じませんが、きっとソムリエ協会さんの複数名の識者の方々が、ある程度は感じたままで作られていて、それがイレギュラーな部分やコメントの幅にもつながっているのではないかと思うのですよね(勝手な推測です)。

なので、あまり頭でっかちになりすぎず、結局は目の前のワインにしっかり向き合うことが大事だと思っています。

※参考:「今一度ピュアな気持ちでワインと向き合ってくださいね

余談ですが、昔は私は、授業前にテイスティングをして先に模範解答を作ったり、その時間がない時は、先に品種・産地・収穫年・アルコール度数を見てドライティスティングをし(エアーでコメントを作り)、テイスティング時に一口飲んで事前に作成したコメントを微調整する、ということをしていました。

今は、あまりにも時間のタイトな講座や、同一内容で複数回行う講座を除き、なるべく授業の中で私も皆様と同じ環境・同じ制限時間で飲み、その場でテイスティングコメントを作成し共有するようにしています。事前テイスティングの場合、環境が異なると感じ方も異なる場合があるのと、やっぱり皆様と同じ状況で飲まないと、なんだか皆様とムードが異なる気がして。あと手前味噌ですが、講師として、その場のライブ感の強い進行の仕方でもきちんと行えるという安心感が、自分の中でそろそろできてきたというのもあるでしょうか。

いずれにしても、模範解答を作成する際にワインのスペックをどこまで参考にするかも講師によって異なるため、また違いが出てくるように思います。

はじめと少々異なる結論

「講師によって全然違うことを言っているように思えても、実はそんなに違わないこともある」と書きましたが・・・

前述の、更に異なる要因たちを考えたら、もちろん「合格のために」というゴールは一緒ですけど、その道中の方向はかなり違う面もあるかもしれないと思いまして。

たとえになっているかわかりませんが、もしイチローさんと大谷さんの両方から、野球を教えてもらえる機会が得られたとしたら?お二人の仰ることは、結構違いそうな気がします(そんな機会は得られないので完全に想像ですが)。プロとやってこられている方々は特に、それぞれの信念や方法がありますよね。

「迷うなら一人の先生、違いを楽しめるなら複数の先生」と書きましたが・・・

吹奏楽を楽しんでいる友人から、「基礎を覚えるまでは一人の先生に師事するのが普通」と聞いたことがあります。

明確に正解・不正解がすぐに出る座学とは異なり、感じ方や解釈の仕方、表現の仕方にも違いのある体得系や芸術系のものは、先生によって正解や点数の違いがでるので、基礎がおぼつかないうちからいろんな先生に師事すると混乱するからですよね。

音楽もワインテイスティングも、そういう意味では似ているかもしれないと思いました。

すでに自信のある方や、様々な先生の見方が知りたい!という方は良いけれど、そうでないかたは、特に最初は、むやみやたらに複数の先生でなく、しっくりくる一人の先生の仰ることを素直に聞いて信じたほうが効率が良いかもしれないな、試験が終わってから世界を広げれば良いのではないかな、と最近は思い始めています。

ちなみに私も、自分が受講生側で学ぶ趣味の分野では、甲乙つけ難い複数の素晴らしい先生方のレッスンがあって、しばしば仰ることが異なるため、ちょっぴり混乱したりします。その場合、しっくりくる主軸の先生を決めて、他の先生のおっしゃることも良い部分は有り難く取り入れるけど、主軸の先生の教えと異なる部分は申し訳ないけど取り入れない、ということにして、なんとか自分の混乱を落ち着かせています。

でも、スランプになったときに、いつもの先生とは異なる教えを試してみるとうまくいくこともありますよね。ワインに限らず、一般に共通する停滞期の抜け方は、「気晴らしをしつつ、さらに頑張る」でしょう。頑張っても成果が出ない時期は誰にでもあって、グッと成長する前に消化に時間がかかっているだけですので、「そこで嫌になってやめちゃわないこと」が非常に大事ですよね。気分転換に、別のルートを試してみるのは良いかもです。

皆様ならできますよ。

頑張ってこられたご自身を信じてあげてくださいね。

私も、しっくりくる先生に選んでもらえるように頑張らなきゃ。(^^)

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